●質問
浮気した元カレが憎くて吐きそうです。どうすれば気持ちが落ち着きますか?
●回答
浮気された人は「裏切られた」と思うから、吐きそうなくらい相手のことが憎くて当然といえば当然で、あなたの気持ちは(想像するに)なんとなく理解できます。
ただ、あなたもわかっているとおり、誰かのことを憎んでも、なにも生まれません。このことがわかっていても、あなたに限らず私たちはみな、誰かのことを憎みます。
それはなぜだろうか?
憎らしい人とは、じつは自分の中にいるもうひとりの自分だからです。
すなわち、なにかきっかけがあれば浮気してしまう自分を、誰もが心の中に飼っているということです。また、あなたが憎んでいるのは「その彼」ではなく、じつは「あなたの中にいるもうひとりの自分」だということ。さらに言い換えるなら、あなたはあなた自身を憎んでいる。だから気持ちがざわつくのです。
このことを理解しない(理解できない)人は大勢います。
私は浮気などしない「善い人」。彼氏は浮気する「悪い人」。こういう二項対立の考え方しか持てない人は大勢います。
だから、浮気や不倫に関する相談が山のように存在します。自分を「善」の領域に置いて、そこから向こうの山を見るように「悪の領域にいる彼」を眺めると、それはそれは言葉を尽くしても尽くしきれないほどたくさんの「苦情」が生まれるからです。
でも、いいですか、あなたの中にも悪は存在するのです。現実の「その」あなたの心の中には、ちゃんと「悪」の自分が住み着いているのです。なにかきっかけがあれば、自分でも制御できないほどのパワーでもって浮気してしまうあなたがちゃんといるのです。
一般に「憎しみからはなにも生まれない」というのは、そのことを言っています。すなわち、もうひとりの自分を「この自分」が否定したところで何も生まないのです。なぜなら、否定とは「概念」だからです。概念とはモノではありません。具体的な個物ではないものをいくら考えても「無」でしかないのです。
浮気は善くないのは当たり前のこと。しかし、その善くないものを「他人のもの」としてではなく自分のものとして考えない限り、憎しみはいつまで経っても癒えないのです。