●質問
本命の彼女がいるにもかかわらず、わたしのことを口説いてくる男性がいます。わたしも彼のことが好きで、いま浮気状態です。でも、彼のことが本気で好きだから、もうエッチしないようにしようかなと思っています。ところで、男の人って、本命の彼女がいるにもかかわらず、なぜ別の女性を口説くのでしょうか?(27歳・埼玉県)
●回答
彼はあなたのことを「もう半分の自分」だと認識しているから、熱心に口説いてくるのだと思います。「もう半分の自分」とは、遠い過去に失くしてしまった自分のことです。
たとえば、女子を例にとれば、少女時代はボーイッシュだったのに、その後、中学高校と、親の教育などが直接的な理由でおとなしく暮らしてきた女子がいるとします。その女子にとって「もう半分の自分」とは、「かつて男の子と仲良く、男まさりに楽しく遊んでいた自分」です。その「もう半分の自分」を探す旅の途中にいる彼女は、男気がある男のなかの男みたいな男性に恋するかもしれません。男女の真ん中、つまり中性的な性格をもっている男子に恋するかもしれない。いずれにしても、彼女は、「遠い過去に失くしてしまったもう半分の自分」を求めて、誰かに恋するということです。
彼にとって、本命の彼女も「もう半分の自分」です。彼は彼女のなかに「もう半分の自分」がいることを認識したので、彼女のことが好きになって付き合いました。
で、ここからが話のポイントなんですが、もう半分の自分って、ひとりしかいないわけではないんですね。人は過去に「いろんな自分」を置き去りにしたまま今を生きるからです。だから、彼にとって本命の彼女とは、複数いる「半分の自分」のひとりだし、彼にとってあなたは、複数いる「半分の自分」のひとりです。
映画『君の名は。』は、もう半分の自分を探す男女を描いた優れた作品です。ふたりの主人公は、自分が遠い昔に失くしたもう半分の自分を、かなり前向きに、しかも爽やかに探します。
もう半分の自分になかなか巡り逢えなくて、それゆえ淋しさに足をとられ、夜ごとセックスする人もいるというのに、新海誠監督の映画には、そのような「エグイ」男女は出てきません。あくまでも内省的に爽やかに、もう半分の自分を探します。
実際には、現実の世の中の人たちは、あなたやあなたの彼のように、浮気したり、余計な(失礼!)セックスをしたり、はたまた他の誰かのように、夜ごとスナックで酔いつぶれたりしながらもうひとりの自分を探しているはずです。
ともあれ、彼はもう半分の自分をあなたの内に見ているから、本命の彼女がいるにもかかわらず、あなたのことを熱心に口説くのです。