●質問
わたしの彼氏はすごく怒りっぽいのですが、怒りっぽい人って、なぜそんなに怒るのですか？

●回答
怒りっぽい人というのは、「実際の自分」と「世間が評価する自分」との間の乖離に怒っているんです。「あなたに」怒っているのではなく、「自分のことを正当に評価しない世間」に対して怒っています。
彼は自分の中で「俺は仕事ができて、稼ぎもそこそこよくて、人望も厚い人間だ」と思っているとしましょう。それはもちろん、「３割増し」「５割増し」の「理想像」なわけですが、でもそう思っているとしましょう。そういう男子、多いから。
でも彼は世間から「こいつは仕事をさせたらミスが多いし、給料は月20万ないし、人の好き嫌いが激しいから人望なんてないし」と思われているとしましょう。
その「理想」と「世間の評価」の乖離（この場合、とっても大きな乖離）を、彼は怒るのです。
俺は不当な扱いを受けていると――。

その「不当さ」「正当な評価を受けてなさ」を、彼はどうにか正当化しなくてはなりません。さもないと彼は「世間の評価のとおりの男」に成り下がってしまいます。それだけはどうしても許せないんですね。だから彼は自分を正当化しようとします。

がしかし、ぶっちゃけ、彼を正当化できる材料って、どこにもないんです。そのことを彼は知っています。だから怒るんです。というか、怒るしかないんです。怒ることで「俺は世間で評価されているようなチンケな男じゃない」と主張するのです。

今、キレやすい老人という言葉があるように、老人もキレやすくなっていますが、それも同じです。
自分が正当な評価を受けていないと思う（自分は50年以上働いてこの日本を守ってきた人間なのに、レジでこんなヤツらに交じって並ばさせられるとは何事か！　と思う）。その「こんなヤツら＝自分の立派さ」を正当に主張しようにも、老人にはその材がない。だから怒るしかないのです。

怒りやすい人は、一度、飛行機のビジネスかファーストに乗ることをおすすめします。
あそこは、人を人としてちゃんと扱ってくれます。人を尊厳する接客です。
――俺、ここまで丁重に扱われるほど立派な人間ではないけどな
彼がこう思ったなら、彼は人間として少し成長したと言えます。