●質問
母親のことを好きになれなくて困っています。どうすれば好きになれますか?
●回答
いわゆる「母娘問題」として、ネットで人気の(?)問題ですね。
この問題を解明する鍵は「世界の開け」です。
誰もが「その人」として生まれてきました。あなたはあなたとして生まれてきました。あなたのお母さんはあなたのお母さんとして生まれてきました。
ここで質問です。
あなたはなぜ「そのあなた」なのでしょうか?
あなたは、あなたの友だちの誰かみたいに、母親と仲のいい人格を持って生まれてきてもよかったのではないでしょうか。それなのになぜあなたは「母親とうまくいかないことに悩む人」として生まれてしまったのでしょうか。
じつはこれ、科学的には解明されていません。哲学がひとつの答えを提示しています。
すなわち、その人がもつ世界(世界観)は、何者かによってただ与えられただけだ、と。
つまり、あなたは、なぜかわからないけど、偶然、その世界観を持って生まれてきました。お母さんも同じです。なぜかわからないけど、お母さんの「その世界観」を持って生まれてきました。人は自分が持つ世界観を選べないのです。生まれたとき(世界の開けのとき)において与えられた世界観を、黙々と生きるしかないのです。
何者かによって与えられた両者の世界観がうまく交わらなかった場合、母娘問題が起こります。反対に、理解しあえる世界観を持って生まれてきたなら、母と娘は友だちのように仲のいいものになります。
母娘問題が起きると表層的なことばかりに目がいきがちです。母親のこういうところが嫌い、と、些末なことばかりに文句を言いがちです。
しかし、深層は深いし、そこに好きも嫌いもありません。なぜかわからないけど、あなたの世界は「そのように」開いた。お母さんの世界は「そのように開いた」。2つは不幸にも交わらない世界観だった。ああ、不幸なことよ。
誰もが「選べない世界の開け」をその人生のスタート地点としている以上(他にスタート地点と呼べるものが見当たらない以上)、こう思うしかないのです。